奥能登国際芸術祭では「大蔵ざらえ」と銘打ち、家々に残る生活用具の数々を収集しました。「蔵ざらえ」は、商店が店じまいするときに使われる言葉ですが、過疎高齢化に伴い「家じまい」が進む珠洲の家々には、なじみの深い生活用具が無数にあります。蔵にある品々を作家、地元サポーター、スタッフの皆で掃除・移動しました。
今回の大蔵ざらえで収集した生活用具は1500点にのぼりました。集められた生活用具について、寄贈者の方に民具の思い出や記憶の聞き取りを行います。時にはご先祖の思い出話で涙ぐむ場面も。生活用具たちは、その後、一点一点、聞き取りで得られたデータと実測値を付与されて資料化されていきました。
アーティストたちが現地に入り、珠洲市の全域において、それぞれの取材活動や民具の持ち主への聞き取り調査を実施し、民具や資料、風景、風土をどのような形でアートと重ね合わせ、見せていくのか、検討を行います。ひとりの視点ではなく、8組のアーティストが加わり、多角的な視点から地域の情報を収集し、それを直接的、あるいは間接的に作品に取り込む方法を模索します。
大谷保育所を始め、保存をしている場所にアーティストを案内し、民具・生活用具を見てもらいます。アーティストはそれぞれの視点からそれらの背景やストーリーを汲み取り、民具・生活用具はアート作品へと生まれ変わります。アート作品は、スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」として展示公開されています。
大谷保育所を始め、保存をしている場所にアーティストを案内し、生活用具を見てもらいます。アーティストはそれぞれの視点から生活用具の背景やストーリーを汲み取り、これらの生活用具はアート作品へと生まれ変わります。アート作品は、スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」として展示公開されています。
会場プログラム
bacilli(旧 世界土協会)<日本&シンガポール>
「あえのこと」や地元の人の「土の記憶」のリサーチを元に、「大蔵ざらえ」で集まったモノと映像で構成するインスタレーション。
大川友希〈日本〉
役目を終えたキリコと古着を裂いて結びなおした紐を用いて、森のように豊かな、あまたの記憶に満たされた場所をつくりだした。
OBI〈日本〉
奥深い蔵を潜り抜けるかのような空間に配されたさまざまな道具の集積から、奥能登の歴史や食文化を体感することができるインスタレーション。
南条嘉毅〈日本〉
珠洲の古代の地層から掘り出した砂を敷き詰め、木造船、古いピアノなどを据えて映像を照射。土やモノがはらむ記憶の残照が浮き上がる。
竹中美幸〈日本〉
大蔵ざらえで見つかった、ある人物の日記ごしに覗いた珠洲の現在と過去。どことも知れず漂う物語が走馬灯のように漂う。
大蔵ざらえで見つかった、ある人物の日記ごしに覗いた珠洲の現在と過去。どことも知れず漂う物語を半透明なガラス小屋の中につくる。
三宅砂織〈日本〉
船の古材を配した空間に、過去と現在の船の写真やフォトグラムを組み合わせた映像インスタレーション。
久野彩子〈日本〉
使い古された農具の欠けや割れ目が細密な金属の造形物によって繕われ、幾時代も続いてきた珠洲の農村風景が浮かび上がる。
橋本雅也〈日本〉
能登瓦の工場跡地から採取した粘土や、太古の海の記憶を繋ぐ鯨の骨が、歴史と共に今もあり続ける珠洲の原風景へと誘う。
Photo:Keizo Kioku
「スズ・シアター・ミュージアム 光の方舟」から車で5分。民具を収蔵していた大谷保育所が、収蔵と展示公開を兼ねた新しいスペースに生まれ変わりました。民具の研究や活用など、新たな博物館のあり方を模索する実験的な施設です。
現在、団体での事前予約のお客様のみご鑑賞いただけます
入場料大人・大学生/300円 小中高生/200円
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